C型肝炎

2021-05-27
私の米ペンシルバニア大学消化器内科に留学中の研究テーマは、肝炎ウィルスの免疫学についてでした。近年、特にC型肝炎の治療は飛躍的に向上しています。副作用の多いインターフェロン注射から、副作用の少ない直接作用型抗ウィルス薬(Direct Acting Antivirals:DAA)が主流になり、最短2か月の内服でC型肝炎ウィルスの排除ができる時代になりました。(2021年春現在)
慢性肝炎から肝硬変になるのに約20年、肝硬変から肝がんが発症する可能性が約10年と言われていますが、DAA治療の最も大切なことは、C型肝炎ウィルスの排除もさることながら、将来的な肝がん予防し、肝硬変や肝不全への進行を阻止することが何よりも重要です。その観点から、治療の適応に関しては肝臓専門医の適切な判断に委ねられています。
DAAそのものの副作用は少ないですが、他のお薬との飲み合わせが悪いものもあり、必ずお薬手帳を持参の上でご相談ください。
DAA治療後ですが、通常3年間は3-6か月おきに採血や画像検査でフォローします。特に稀ではありますが、治療後に発癌する症例が報告され、治療前の線維化進行例、糖尿病合併、高齢者、男性がリスク因子であると考えられています。最先端機器であるFibroscanを使いながら、定期フォローを行っていきます。
当クリニックは、東京都肝臓専門医療機関でもあり、肝炎治療医療費助成を申請し(申請には通常2か月前後かかります)、約5-6万円の費用負担で治療できます。