肝機能障害(肝機能異常)
2022-08-23
肝機能障害とは、何らかの原因で肝臓がダメージを受けた状態をいいます。肝臓は沈黙の臓器であり、肝機能障害があっても、症状が出ないことがほとんどです。逆に、黄疸や腹水など症状が現れた状況では肝硬変に進行しているケースがあります。
肝機能障害は、肝機能検査値の異常、つまり炎症を起こした状態をさし、肝炎と定義されます。原因は多岐にわたり、肝炎ウィルス(A型、B型、C型肝炎など)が関わるもの、アルコールの関与、脂肪肝炎の影響、免疫性の肝疾患(自己免疫性肝炎や原発性胆汁性胆管炎など)、薬剤性などが考えられます。肝機能障害を来す原因を一つ一つ鑑別しながら、原因を探ることが重要です。
肝機能異常は健診などで肝機能の数値(AST、ALTなど)が異常値を示した状態です。ASTは肝臓をはじめ、心臓、腎臓、赤血球、骨格筋にも局在しており、肝疾患以外でも異常値になることがあります。一方で、ALTはほとんどが肝臓です。
肝機能値以外もそうですが基準値の算出法が各施設間で差があることも重要で、検査施設が違う生データを比較すると若干の差異があります。ただし、肝機能正常者であれば、 AST>ALTであり、かつ両者ともに 30IU/ L 以下を示すことがほとんどです。従って、たとえ正常範囲であっても、AST<ALT の場合や30IU/ L以上の場合は、肝機能異常の可能性を考え、一度当院外来で相談されてください。