全身性エリテマトーデスは膠原病の代表的な疾患とされています。比較的若い女性に多い病気ですが、男性にも、高齢者にも現れてくる場合があります。この病気では特徴的な症状と特徴的な免疫異常を呈してきます。特徴的な症状としては、1.皮膚症状(蝶型紅斑(顔面に蝶のような形の発疹)、円板状疹(円形の独特な発疹)、指先など手や足に見られる発疹、レイノー現象(寒さの刺激などで指が白くなる現象)など)、2.関節痛、3.腎炎、4.中枢神経症状、5.胸膜炎・心膜炎、6.間質性肺炎、7.肺高血圧症、8.腹膜炎、9.膀胱炎、10.眼底病変、11.末梢血の異常(白血球減少、リンパ球減少、血小板減少、溶血性貧血など)などがあります。免疫異常としては抗核抗体、抗DNA抗体、抗Sm抗体、抗リン脂質抗体、血清補体減少などがあります。このように症状、検査異常とも非常に多彩で、その現れ方はそれぞれの患者様で異なっています。大事な内臓に病変が来る場合には生命予後に影響するような重大な障害をきたす可能性がありますが、一方、重大な内臓病変がない場合には、薬がなくても普通の生活をしていてよい場合もあります。すなわち、この病気の重症度は患者様により非常に異なっています。患者様それぞれの状態によって、適切な生活のあり方、治療法は異なってきます。全身性エリテマトーデスと診断されたからといっていたずらに心配する必要はありません。自分がどういう状態で、適切な生活のあり方や、服薬の必要性の有無を医師から説明を受けることが大切です。
治療としては重大な臓器に障害がある場合には強力な抗免疫療法(大量のステロイド薬や免疫抑制薬)、臓器病変はあるが生命予後に影響があまりないと考えられる場合は少量から中等量のステロイド薬、内臓病変がない場合には対症的な治療(発熱や痛みに対する抗炎症薬など)が中心となります。症状が落ち着いていれば無治療で経過を観察する場合もあります。
昔は全身性エリテマトーデスというと非常にこわい病気と考えられていました。しかし、最近は、軽症例の診断が増え、また、治療法も進歩しています。妊娠・出産も可能となってきています。いたずらに心配しないでよく医師と相談されることが大切です。