シェーグレン症候群は膠原病の中で関節リウマチに次いで多い病気です。中年の女性に多い病気ですが、高齢者にも、男性にも見られます。
シェーグレン症候群で最も多い症状は、口の乾き(ドライマウス)と目の渇き(ドライアイ)です。これは、唾液や涙を作る唾液腺、涙腺に炎症が起こり、これらの臓器の機能が障害されるためです。皮膚の乾燥や気道の乾燥など、などそのほかの外分泌腺にも機能低下が起こることがあります。一般にはこれらの乾燥症状のみの場合が多く「乾燥症候群単独」と呼ばれます。この場合対症的治療が中心となります。
唾液は口の中を清潔に保つ上で大切な働きをしています。口の渇きでもっとも問題なのは歯が悪くなることです。歯を丈夫に保つことはとても大切です。したがって、シェーグレン症候群の患者様では毎食後、歯をブラッシングする、キシリトールガムをかむ(唾液分泌の刺激にもなります)など歯を悪くしないための日常生活上の注意が必要になります。また、風邪にかからないよう、うがいや手洗い、マスクなどの注意もすべきです。口の渇きの結果、口内炎や舌炎、味覚の異常なども起こってくる場合もあります。これらの症状改善するため、唾液の分泌を高める薬もあります。また、人工唾液やそのほかの塗り薬なども用いられます。
涙の減少は眼球結膜に傷ができる原因となります。人口涙液を使って目を潤わせるとともに、傷ができた場合には適切な目薬を用いなければなりません。涙管にプラグ(栓)を入れて、涙が鼻に落ちるのを止めることも行われます。眼科の先生に定期的に診察していただくことがよいと思います。
シェーグレン症候群では時に、関節、肺、腎臓、すい臓などにも病変が見られることがあります。また、まれですが、悪性リンパ腫が合併してくることもあります。全身的なチェックを定期的に行い、もし、これらの病変が出現してきた場合には適切な治療を行うことが必要となります。
シェーグレン症候群では不眠などの精神神経症状も出やすいといわれています。不安な点があれば、医師とご相談ください。
シェーグレン症候群はまた、関節リウマチなどほかの自己免疫疾患を合併しやすいことも知られています。
シェーグレン症候群は決して進行性の病気ではなく、また、改善の得られない病気でもありません。長期に見ていると、症状が改善することは少なくありません。その時々の症状に対して適切に対処すれば長い目で見れば、経過のよい疾患であるといってよいと思います。