リウマチ膠原病疾患は女性に多いものが多く、しばしば、妊娠・出産が問題となります。疾患と妊娠との関連を考えると、妊娠・出産が母親に与える影響、母親の病気が妊娠や、子供に与える影響、母親に使われている薬物が子供に与える影響を考えなければなりません。一般的に妊娠・出産は母親の病気に対し、症状を悪化させる要因となることは確かです。このため、かつては、こうした疾患では妊娠を避けるべきだと考えられた時代もありました。
また、母親の病気が妊娠や子供に影響を与える可能性もあります。その代表的なものに抗リン脂質抗体症候群に伴う習慣性流産、抗SSA抗体を持つ母親から生まれた子供に見られる新生児ループス症候群があります。
母親に投与される薬物の影響も十分配慮しなければなりません。
今日の私たちの立場からは、患者様の状態で特に危険が予測される場合を除き、できるだけ妊娠・出産できるようにしたいと考えています。ただし、この場合、患者様が妊娠・出産に伴う危険性を十分に理解するとともに、患者様ご家族の理解協力を得ることがぜひとも必要となります。この上で、私たちは、妊娠・出産における危険性をできるだけ減らし、また、症状の悪化が出現してきたときなどに適切に対処できるよう努めます。妊娠・出産を希望される患者様はよく医師と相談していただくことが大切です。幸いにして、私たちの患者様から多くの母親が生まれています。